2027年4月24日から8月22日まで、東京都美術館にてラウル・デュフィの大規模回顧展が開催される。
東京都美術館の開館100周年を記念した本展は、デュフィの生誕150年とも重なる節目の企画だ。パリ市立近代美術館が所蔵する多数の作品を中心に、彼の全貌が紹介される。
中でも必見なのが、1937年のパリ万国博覧会のために制作された巨大フレスコ画《電気の精》の原画10分の1スケール絵画(幅6メートル)だ。
会場に広がるその圧倒的なスケールは、デュフィという画家の本質を体感する最良の入口になるだろう。
「色と光」を追い続けたフランスの画家

ラウル・デュフィ(1877〜1953)はフランス北西部ノルマンディーの港町ル・アーヴルで生まれた。9人兄弟の家庭で育ち、音楽を愛する父のもと、幼い頃から芸術的な環境に恵まれた。
20歳でパリに出た彼は、当初印象派に傾倒していたが、1905年のサロン・ドートンヌでマティスの《豪奢、静寂、逸楽》と出会い、衝撃を受ける。固有色にとらわれない強度あるコントラスト──それがデュフィの絵を根底から変えた瞬間だった。
その後マティスやブラックとともに野獣派(フォービズム)の一翼を担い、原色と大胆な筆致でフランス画壇を驚かせた。デュフィとマティスは同じ野獣派として同時代を生きた画家同士だ。本サイトでもマティスの生涯を深く掘り下げているが、2人の表現の出発点には同じセザンヌへの共鳴がある

1907年にはセザンヌの回顧展に感銘を受け、ブラックと共に南仏レスタックに滞在。セザンヌ風の構築的な風景画を試みた時期もある。デュフィにとってセザンヌは「見る」ことの新しい方法を示した師でもあった

デュフィだけが持つ「線と色の分離」
野獣派を経た後、デュフィはさらに独自の境地へ進む。テキスタイルデザインの経験を通じて辿り着いたのが、「線」と「色」を互いに自律させる表現だった。

通常、色は輪郭線の内側に塗られる。しかしデュフィの絵では、色が線を超えて自由に広がり、線は別の場所で独立して存在する。これは単なる技法の変化ではなく、「光=色彩」という独自の理論から生まれたものだ。光が空間を満たすように、色が画面全体を覆う──その洗練されたスタイルは、ピカソ、マティスと並ぶ20世紀フランス絵画の特異点として美術史に刻まれている。
同時代のピカソは対象を解体し再構築するキュビズムで絵画の革命を起こした。ルソーは独学で素朴派を切り拓き、ピカソをも驚かせた。デュフィはそうした同時代の革命家たちと肩を並べながら、「喜び」と「光」という誰もが感じられる感覚を絵に昇華させることを選んだ画家だった。
見どころと展覧会情報
本展の最大の見どころは前述の《電気の精》原画だが、油彩・素描・水彩・テキスタイル・陶器・家具など多岐にわたる作品が一堂に会する点も見逃せない。

デュフィはキャンバスの外にも表現を広げ、ファッションデザイナーのポール・ポワレとの協働や、リヨンの絹織物会社との長期契約など、アートとデザインの境界を軽やかに越えた。その全貌を見渡せる機会は、日本ではこれが最大規模になりそうだ。
展覧会概要
- 会期:2027年4月24日(土)〜8月22日(日)
- 会場:東京都美術館 企画展示室
- 主催:東京都美術館、パリ市立近代美術館、パリ・ミュゼ、読売新聞社
- 公式サイト:https://dufy2027.jp/
YuReL編集部コメント

ピカソの友人であり詩人のアポリネールが「不遇にして、偉大なる画家」と評した画家こそデュフィでした。当時はマティスやピカソの名前に隠れてしまいましたが、マティスのような枠組みにとらわれない大胆な色彩に、輪郭線を超える色の出し方はモダンアートのようです。今の時代に家に飾るならデュフィのほうが人気かもしれませんね。ぜひ実際の作品をその目で拝みに行きましょう!



