【速報】100年の沈黙を破り、モネ幻の2点が計27億円で落札

印象派の巨匠クロード・モネが描いた2点の風景画が、4月16日(日本時間4月17日)にパリのソザビーズで行われたイブニングオークションで、いずれも推定落札額を大幅に上回る価格で落札された。

《ポール=ヴィレの島々》(1883年)

《ポール=ヴィレの島々》 クロードモネ © Sotheby’s
項目内容
制作年1883年
素材・技法油彩・キャンバス
サイズ65.5 × 81.8 cm
落札額6,449,000ユーロ(約10.7億円)
落札額はSotheby’s公式サイト会員ページより取得 © Sotheby’s

本作はモネがジヴェルニーへ移住した1883年、新居の対岸に浮かぶ緑豊かな中州を描いたもの。制作直後にモネの支援者であった画商のデュラン=リュエルが買い取り、その後ニューヨークへ渡った。

1954年のパリオークションで現在のコレクターの家族が入手して以来、約70年にわたってプライベートコレクションに眠り続けた。長らく1950年代の白黒写真でしか存在が知られていなかった幻の1点だ。モネはジヴェルニー移住直後、特製のスタジオボートをセーヌ川に浮かべながらこの中州を繰り返し描いた。

《ヴェトゥイユ、朝の情景》(1901年)

《ヴェトゥイユ、朝の情景》 クロードモネ © Sotheby’s
項目内容
制作年1901年
素材・技法油彩・キャンバス
サイズ89.1 × 92.1 cm
落札額10,197,500ユーロ(約17億円)
落札額はSotheby’s公式サイト会員ページより取得 © Sotheby’s

本作は1901年夏、猛暑でジヴェルニーを一時離れたモネが、新たに購入した自動車でセーヌ渓谷を走り回り、対岸のラヴァクールからヴェテイユの村を描いた連作15点のうちの1点だ。1878〜1881年にかけて実際に住んだ土地を約20年後に再訪したモネは、同じ川を同じ場所から繰り返し眺め続けた。

「私はセーヌを一生涯描き続けた。それはいつでも新しい」という本人の言葉通り、川はもはや単なる風景ではなく、光と時間の変容を映し続ける永遠の実験場だった。完成後すぐにギャラリー・ベルナン・ジュヌが直接モネから買い取り、その後1972年に現在のコレクターに渡って以来、半世紀以上市場に出ることはなかった。

2点の合計落札額は約16,646,500ユーロ(約27.7億円)。2001年以来フランスで競売にかけられた最高額のモネ作品となった。なおモネの世界最高落札記録は、2019年にソザビーズ・ニューヨークで成立した干し草の連作《Meules》の約185億円だ。

ちょうどこの時期、日本でもモネ没後100年の熱気が高まっている。東京・京橋のアーティゾン美術館では「クロード・モネ ―風景への問いかけ」が5月24日まで開催中で、オルセー美術館所蔵の41点を含む約140点が集結している。今回競売にかけられた2点と同じセーヌ川流域の風景画も多数展示されており、パリの落札ニュースと重ねながらモネの世界に浸れる絶好の機会だ。

YuReL編集部コメント

アートライター:竹下翔

1883年、モネはジヴェルニーへ移住したばかりでした。まだ経済的に不安定で、支援者デュラン=リュエルに借金をしながらも、ボートをセーヌに浮かべて中州を繰り返し描いていました。《ポール=ヴィレの島々》にはそんな、がむしゃらに光を追いかけていた若きモネの眼差しが宿っています。

一方、1901年の《ヴェトゥイユ、朝の情景》を描いた頃のモネは、すでに世界的名声を手にし、自動車を乗り回してセーヌ渓谷を気ままに旅できるほどになっていました。

若さと円熟、探求と回帰。この2点が100年の眠りから覚め、同じ夜に競売にかけられたことに私はロマンを感じます。

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