長野県小布施町で【葛飾北斎】の肉筆画を浴びてきた|画狂老人卍の作品は迫力満点

こんにちは、葛飾北斎の奇人っぷりに魅了された東京都在住のアラサーです。

この人は住居もペンネームをコロコロ変え、春画を書いた時の名前は直接的すぎるしと、ツッコミどころ満載なのに、絵に対しての狂気的な執着心がかっこよくて、気が付いたら好きになってました。

好きな人が描いた一点物の肉筆画を生で見たい!と思い、北斎が晩年に愛した土地 長野県小布施町” へ行ってきました。

葛飾北斎が描いた迫力満点の作品が、美しい状態で保存されている様を目にし「威風堂々」を身を持って体感できたので、ぜひシェアしたいと思い、この記事を書きました。

やはり、葛飾北斎は狂っている

目次

長野小布施町|「北斎館」「岩松院」ってどんなとこ?

葛飾北斎は、長野県小布施町を4度訪れました。

80代のおじいちゃんが、東京都墨田区から長野県小布施町までの約220kmの道程を、ほぼ徒歩で行ったのです。それも4回。

その町で、北斎の作品が見れる場所を2ヶ所ご紹介します。

長野県小布施町 「北斎館」

北斎が天井画に携わった2体の祭屋台が保管されている「北斎館」。企画展と常設展があり、行くタイミングにより企画内容が異なることも魅力です。狂歌摺物や錦絵なども展示されており楽しむことができます。

住所長野県上高井郡小布施町大字小布施485
最寄駅長野電鉄 小布施駅 (徒歩12分)
営業時間 9:00-17:00(最終入館16:30)
入場料一般 1,000円 / 高校生 500円 / 小中学生 300円 / 小学生未満 無料
写真撮影は許可のある場所で可
公式サイトhttps://hokusai-kan.com

長野県小布施町 「岩松院」

北斎が約200年前に描いた「八方睨み鳳凰図」の天井画が見られる「岩松院(がんしょういん)」。どの角度から見ても鳳凰と目が合うことでも有名な本作品は、当時から修繕されることなく、そのままの状態で保存されています。

「八方睨み鳳凰図」のレビューを見たい人はコチラをタップしてみてください。

住所長野県上高井郡小布施町雁田
最寄駅長野電鉄 小布施駅 (タクシー:10分 徒歩:30分)
拝観受付時間4月~10月:9:00-16:30 / 11月:9:00-16:00 / 12月~3月:9:30-15:30
入場料一般:500円 / 小・中学生:200円 / 未就学児:無料
写真室内の写真撮影は不可
公式サイトhttps://www.gansho-in.or.jp

長野・小布施町|「北斎館」「岩松院」の見どころは?

北斎は、約50歳年下のパトロン高井鴻山 (たかい こうざん) 」の支援により、長野で創作活動を行うことができていました。

高井鴻山が北斎を長野県に招いたので、素敵な作品が長野県宝として残っています。

北斎館:企画・常設展と見応え抜群!老若男女が楽しめる美術館

小布施駅から12分ほど歩くとある「北斎館」は、とても綺麗な建物でした。

企画ごとに北斎の作品が展示されているため、いつ行ってもその企画にあった作品を見ることができる形になっています。また、館内の所々に休憩スポットがあり、キッズルームもあるので、老若男女が楽しめる良い美術館だと思います。

企画スケジュールは 企画展 | 信州小布施 北斎館 をご覧いただき、ぜひ気になるタイミングで足を運んでみてください。

第三展示室は掛軸や額装などの肉筆画が展示されていて第四展示室は祭屋台展示室となっており、天井絵が描かれた祭屋台が展示されています。直接的に鑑賞はできませんが、タッチパネルで詳細を見れます。

キッズルームがおしゃれだったのでぜひ気になる方はyoutubeをご覧ください。

岩松院:威厳溢れる「八方睨み鳳凰図」お寺の方の解説も最高

岩松院は、小布施町駅を出て左に曲がって、山にむかってまっすぐ歩いていくとある、趣のあるお寺です。

北斎だけでなく、俳人小林一茶や戦国武将・福島正則もゆかりがある場所で、歴史のある展示物がたくさんあります。

券売機で拝観料を支払い、本堂へ進み、天井を見上げると迫力満点の鳳凰図を見ることができます。

天井画には絵皿の跡など、制作時の痕跡が残っており、北斎が描いてから誰も手を加えていない、生きた作品が天井に広がる光景は一見の価値があると思います。(「八方睨み鳳凰図」のレビューはコチラをクリック

そしてお寺の方が、30分に1度の間隔で「八方睨み鳳凰図」を解説しています。その解説がわかりやすく心が落ち着くので是非聴いてほしいです。もしお急ぎの場合はアナウンスをかけてくれます。

解説は10分かからない程度で、その後に質問をすると色々なことを教えてくれます。富士山大好き北斎は、隠れミッキーならぬ、隠れ富士山を描いていたりもするのでじっくり見て欲しいです。

長野県小布施町の美術館で絶対に見てほしい作品

今から紹介する作品は、葛飾北斎の肉筆画に分類される作品です。

版元(出版社)を介さない作品は、「売れる作品」ではなく、絵師が「描きたい作品」を好きなように描いています。葛飾北斎が自由に自分の想像力をフルに活用して描いた素晴らしい作品を紹介します。

北斎館|上町祭屋台 男浪図・女浪図 

上町祭屋台天井絵「怒濤図」の「男浪 (おなみ) 」「女浪 (めなみ) 」二面と屋台の装飾は、1845年から1846年にかけて製作されました。それぞれ縦横およそ118cmの桐の板に描かれています。

天井絵を彩る縁絵は、北斎の下絵を基に高井鴻山が彩色しています。

北斎の代表作富嶽三十六景神奈川沖浪裏の波を彷彿させる波は、同様の絵の具「ベロ藍※」を使用していると言われています。

「ベロ藍」とは

ベルリンで偶然に発見された合成顔料。オランダを経由し、1747年に日本に入ってきました。(日本がオランダと交流を持ち始めたのは1600年。)はじめは高級品でしたが、1800年代に入る頃になると、中国で製造されるようになり、誰でも使える絵の具となりました。

北斎館|東町祭屋台 龍図・鳳凰図

東町祭屋台の天井絵「龍」「鳳凰」図は、北斎が85歳の時に製作されました。

紅を基調とした背景に描かれる龍図と、対極に暗い藍色を基調としている鳳凰図は、陰陽思想に基づいていると言われています。森羅万象の全てを理解し、描きたいと思っていた葛飾北斎らしい明暗の描き方です。

ちなみに龍図を見た時に、「あ、北斎だ!」と思ったんですね。既視感があったからで、その正体は北斎の80歳の時にの自画像でした。

ちょっと並べてみました。どうでしょう?

【左】葛飾北斎自画像 (Wikipediaより)

私は個人的に「北斎は龍になったんだなあ」と1人で納得しておりました。

北斎館|富士越龍

北斎館にある「富士越龍」は原本となります。

本作品は北斎が亡くなった年の元旦に書いたと言われており、雅号には画老狂人九十卍の記載があります。90歳が近くなってきてから、北斎は雅号に年齢を記載していたため、作品を描いた年齢がわかるようになっています。

北斎が愛した富士山と、黒雲を登っていく龍は、崇高な美を感じるので個人的に大好きな作品です。

富士越龍図 -パブリックドメイン

葛飾北斎を象徴する富士山、細部までこだわって描かれている龍、神秘的な雰囲気を際立たせている筆感の黒雲は、北斎の絵に狂った人生の全て詰め込まれていると思います。

岩松院|八方睨み鳳凰図

私が最も感動し、あまりの迫力と美しさに動けなくなってしまった作品です。

この八方睨み鳳凰図は一度も塗り替えがされておらず、約200年前に北斎が描いた状態そのまま見ることができるのが魅力です。

どの角度から見ても鳳凰と目が合うことで有名な作品です。鳳凰のモデルとして孔雀を起用しており、周辺の緑色は五葉松、茶色は芭蕉の葉など、植物がモチーフとなっています。

大きさは畳21畳分で、12枚の板を繋ぎ合わせて天井に飾られています。当時使用されたと思われる絵具も飾られており、北斎の描いた下書きも展示されています。

北斎の作品は、基本印刷で、アクリル板やガラス板越しに見たことしかなかったので、肉眼で色が見れたことはとても貴重な体験でした。ただでさえ鳳凰は迫力満点で、美しい超大作。「威風堂々」とはこういうことか〜と、しばらく固まってました。

特に黒にも見える濃い藍色は、ベロ藍が使用されているのですが、映画「HOKUSAI」で、理想の青に出会い喜びを露わにしているシーンを思い出し、少し泣きそうになりました。

ちなみに、鳳凰図の中の隠れ富士山は、お寺の住職さんが平成2年に見つけたようです。富士山を愛した北斎が忍ばせた隠し絵、是非見つけてください。わからなかったら解説してくれる方に聞いてみてください。

長野県小布施町 北斎巡りためのFAQ

どの順番で巡るのがオススメ?

電車・車などアクセス方法を問わず、岩松院に行ってから北斎館に行くことをおすすめします。北斎館周辺はご飯屋さんやお土産屋さんがたくさんありますので、午前中に岩松院へ行き、北斎館周辺でお昼ご飯を食べて、北斎館に行くのがベストです。

オススメの時期は?

徒歩の方は、岩松院は雪深くなると思うので、なるべく冬は避けたほうが良いかもです。ただ、雪景色の中お散歩するのもこれまた一興です。

お土産はどう?

北斎館のお土産は、北斎の富嶽三十六景に関する商品や、肉筆画や富士越龍など紹介した有名作品を中心にたくさんの種類がありました。

岩松院は、八方睨み鳳凰図に関するお土産のみとなり、そこでしか見たことがなかったので、是非気になるものがあったら購入されることをお勧めいたします。

【感想】北斎は、人間を越えていたと思う

唐突ですが、好きっていいなとつくづく思いました。

私は引きこもりのため、彼を好きにならないと旅行に行かなかったし、高揚感で体が固まる体験ができなかったと思います。

北斎の晩年の作品は、自由に書いた作品が多いです。天井画は一点物で、それでしか得られない魅力があります。基本的に北斎が描く生き物は、魔除けになりそうな威厳があり、場所も相まって神秘的具合が増してます。

そりゃ平均寿命が40歳の時代に、90歳まで生き、龍になりつつあった葛飾北斎の作品なので、言葉にならない感情をプレゼントしてくれるのは当たり前と思えば当たり前な気もします。

興味を持っていただいたら、是非足を運んでみていただきたいです。そして、あなたの感想を教えてください。

YuRuLi
サイトの管理人
TOKYO | WEB DIRECTOR
Youtube登録者19万人。
本業以外に、日常に溶け込むプレイリスト動画の作成や音楽キュレーションの仕事も。音楽、ガジェット、家具、小説、アートなど、好きなものを気ままに綴っていきます。自分の目や耳で体験した心揺れるものを紹介。

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