「エモい」とは、「エモーショナル(感情的・感傷的)」な状態を指す言葉。
ある時は、夜に並ぶ都会のビル群を見て、またある時は、夏の田園風景に落ちる夕日を見て。目だけでなく五感の全てで感じる”懐かしさ”が、「エモい」の正体だと思います。
今回は、耳から「エモい」を感じられる20曲をHeartStation 365が厳選してお届けします。まだTikTokでは流行っていない曲も多くあるはず。
さまざまなシーンに合わせたチル楽曲のmixを行うYoutubeチャンネルを運営。チャンネル登録者は19万人以上。
なお、こちらで紹介している楽曲も含んだエモChill mixをYoutubeで投稿しているので、まとめて聴きたい人はご視聴ください。
エモさ全開のおすすめ楽曲30選
時代や楽曲ジャンルによって「エモい」は人それぞれ。紹介する楽曲はあまりそれらに捉われず、幅広く「エモさ」を発揮してくれる至極の曲をピックしました。
※著作権の都合でSpotifyの埋め込みとなりますが是非Youtubeなどでイントロから聴いてみてください
「Home Town」- My Hair Is Bad
この曲を聴くと、「エモい」という言葉は、このイントロから生まれたのかと思ってしまうほどにエモさの権化です。
やさしく、ゆるやかに奏でられるギターの音色。目を閉じると、夕焼け空の下、走る電車に揺られているような景色が浮かんできます。
イントロだけでなく、懐かしさを感じる歌詞とメロディのループがエモさを引き立てています。日常を切り取ったような何気ない旧友との思い出や田舎の風景を語る歌詞。イントロ以降はほぼリフレインされるメロディー。心地よいメロディーに閉じ込められることで、世界観にずっと浸れるのがこの曲の特徴です。
「窓辺」 – カネコアヤノ
唯一無二の世界観を持つ女性ソングライター・カネコアヤノさん。フォークとロック、オルナタティブが重なり合う独特のサウンドに惹きつけられます。
「窓辺」は気だるさをまとった雰囲気ながらも、ゆるやかに大きな波に揺られているような心地よさがある1曲です。
詩的で他にはない歌詞のセンスがスピッツを思わせます。
「君が思い出になる前に」 – スピッツ
イントロが光るギターサウンドと言えば、スピッツ。歌詞センスが圧倒的に光るアーティストと言えば、草野マサムネさん(スピッツのボーカル)。
本楽曲もイントロから「ああ、間違いない」と思わせてくれるスピッツらしい切なく優しいメロディーライン。30年以上前の曲なんてことは全く関係なくスッと耳に入ってきます。
ノスタルジーさもあいまって、「エモい」をまとっています。
「あなたは煙草、私はシャボン」 – ラブリーサマーちゃん
イントロから世界観に浸れる「ラブリーサマーちゃん」の代表曲。
かき消えてしまうような切ない声、煙草の煙やシャボン玉といった刹那的な表現、かけ抜けていくギターの音色が入り混じり感傷的な気持ちにさせられます。
「雨の匂いを染み込んだ あの夏のことを思い出す 大人のあなたは煙草 私はシャボン玉」と、年齢的な距離感を感じる関係性が垣間見える歌詞。この歌詞や声など楽曲全体が醸し出す”絶妙な不安定さ”が中毒性を生んでいます。
「家族の風景」 – ハナレグミ
20年以上前の曲ながら、最近TikTokで楽曲利用が広がり再注目されている1曲。
スモーキーな声と半拍遅れるような永積タカシさんの独特な歌い方が、この曲の空気感を作り出しています。
優しいアコギの音色をメインとしたシンプルなコードですが、繰り返し味わいたくなる名曲です。
「7時には帰っておいでと フライパンマザー」。多くの人がなんとなく記憶にある風景を一言でさらっと表現できるのがかっこいい。
「Allday」 – HIMI
嫌なこと、辛いことがあってもこの曲を聴いている間はすべて浄化され、洗い流されていくような気持ちになります。
HIMIさんの高音ハスキーボイスが空間に広がっていくの心地よいです。夕方から夜に移ろっていくようなゴールデンアワーに聴きたくなる本曲は間違いなく「エモい」です。
「エイリアンズ」 – KIRINJI
秦基博さんをはじめ、多くのアーティストがカバーをしている不屈の名曲。物憂げな浮遊感と繊細な声が織りなす心地よいグルーヴ感がたまりません。
何気ない夜の郊外から始まるストーリーの中で、ひときわ目立つエイリアン(異星人)というキーワード。わかり合えないと分かっていながら、分かってほしいという切ない思いが、エイリアン(異星人)という表現になるなんて、アーティストってすごいです。
夏の夜更け、秋の夕暮れ、冬の朝など色んなシーンで聴いてもマッチする曲です。
「Stay Gold」 – 宇多田ヒカル
ピアノと電子音が特徴的な宇多田ヒカルさんらしい音の使い方。圧倒的な歌唱力とエモーショナルな声によって深いところまで落ちていける感覚。
どこか暗い雰囲気を持っている曲ですが、「My darling Stay gold 無邪気に笑ってくださいな いつまでも」なんて、すごく愛に満ちた優しい歌詞です。
パートナーだけでなく、自分の子供への愛情にも思えたり、聴く状況で歌詞の捉え方が変わります。
「Lonely」 – Asilo
街にあかりが灯り始めるような、日も沈みはじめた時間帯にそっと聴きたい1曲。
優しい風が顔を撫でるようなふわっとした聴き心地で、「これがチル・エモか」と感じられます。
短編小説を読んだ心地よい読後感のような感覚に浸れるので是非お聴きください。
「Swallowtail Butterfly~あいのうた」 – Chara
Charaさん自身が主演を務めた映画「スワロウテイル」の主題歌です。Charaさんの歌声でしか表現できない淡く・神秘的でいて、力強さも感じる曲。幼少期に聞いたとき、「聖歌のような歌だな」と思ったのを覚えています。
メロディーなど作曲したのはサザンオールスターズからMr.Childrenまで超大御所アーティストの編曲やプロデュースを手掛けてきた小林武史。イントロからきゅっと切ない気持ちにさせられますが、サビの弦楽器とCharaの声がさらに切なさ・儚さに拍車をかけ、いつの間にか「スワロウテイル」のに世界観に浸っています。
「クロノスタシス」 – きのこ帝国
「クロノスタシス」は元から、きのこ帝国の中でも人気な曲でしたが、映画『花束みたいな恋をした』でより多くの人に広まりました。
「クロノスタシス」という聞き覚えのない言葉がキャッチーでありつつ、誰が聴いても酔いしれる心地の良いリズムとメロディー。
気怠い雰囲気に、艶やかな声がなんともこの曲のイメージに合っています。
出だしの歌詞からきっとこの曲を気に入ります。「コンビニエンスストアで 350mlの缶ビール買って きみと夜の散歩 時計の針は0時を差してる」
何でもないけれど大切な日常の風景。幸せなを帯びていてる夜12時。
「コインランドリー」 – ヤングスキニー
令和の沼男こと、かやゆーさんがボーカルを務めるヤングスキニー。気だるい声とチルメロディーがやみつきになってしまう沼ソング。
歌詞をよく聴いていると、「シワがつかないようにちゃんと伸ばしてね」「とりあえず今日は君が出してよ 明日もよろしくね」など、だいぶクズ男感が出ていてます。それを言われている関係性に依存感が出ていて、なんとも言えない沼男ドラマを見たような気持ちになったり。そんな歌詞も含め中毒性があり、深夜に聴きたくなります。
「くだらない」 – 羊文学
自然と淀みなく流れるベースの音と塩塚モエさんのハイトーンから始まるイントロが抜群に心地いいです。
徐々にメロディーの起伏が高まりつつ、ドラムの音が入ってくる瞬間も気持ちいい。
頭に強く残るメロディーではないけれど、心を落ち着かせたくなる時に聴きたくなるナチュラルエモソングです。
「染まるよ」 – チャットモンチー
2017年に解散してしまったチャットモンチーの代表エモソング。夏に入る前の湿気が帯びる夜中にフラッと散歩しながら聴きたくなります。
ただし、ちょっと落ちモードになるので、聴きすぎに注意です。
BPM75とスローテンポに秀逸な歌詞が心の情景をとてもうまく表現しています。
「若者のすべて」 – フジファブリック
言わずと知れた、邦ロックの大名曲。日本人なら誰しもが想像できるような夏の風景が思い浮かぶリメンバーソングです。
歌詞のどこを切り取っても素敵ですが、個人的には「街灯の明かりがまた 一つ点いて 帰りを急ぐよ 途切れた夢の続きをとり戻したくなって」の部分が好きです。
最近、ヨルシカのsuisさんがカバーしたことで、また脚光を浴びていますが、これからも忘れられない1曲です。
「愛の轍」 – Chevon
ハイトーンが特徴的なボーカル谷絹さんの歌声が映える令和エモソングです。
歌い出しからギターの間奏が入るイントロがかっこいい。独特なリズム感がクセになる曲で、サビはそのリズムと漢字の多用でオシャレなお経のようにも聞こえます(褒めている)。
「でこぼこ」 – Furui Riho
R&Bやゴスペルをルーツに持つ、新進気鋭の実力派アーティスト。
よく通る強い声を持っているのに、表現の幅が非常に広く、繊細なタッチな楽曲も得意としています。ブラックミュージックに精通しているためか、裏拍でとるリズムが心地よくノレます。
くぐもった電子ピアノから始まるイントロがおしゃれで、実は最初に針が落とされたレコードのノイズ音が微かに入っています。レコードで再生したかのように聴ける演出がまたエモさを感じさせるのかもしれません。
「ナイトオンザプラネット」 – クリープハイプ
映画『ちょっと思い出しただけ』の主題歌。この映画自体が洋画の『ナイト・オン・ザ・プラネット』のオマージュ的な映画のため、それと同じタイトルなのが面白いです。(洋画の『ナイト・オン・ザ・プラネット』を思わせる歌詞もあり)
イントロを聴いた瞬間に、「ああ、この曲絶対いいやつだ」と思わせてくれる掴み。スキップをしたくなるようなテンポ感に気だるさが混じり合っている他では感じられない曲で、中毒性高めです。
「くだらないの中に」 – 星野源
優しさに包まれるギターの音色に、実直さ溢れる星野源さんの声がとにかくいいです。
ギターのキュッとする音と同時に、聴いていると胸がきゅっとして、ふわっとする、自然と涙がこぼれるような曲。
日常のありふれた、そんなくだらないの中にある愛の歌です。
「Secret of my heart」 – 倉木麻衣
「名探偵コナン」といえば、倉木麻衣。倉木麻衣さんといえば、「Secret of my heart」。
90年代の電子音も混じりつつの、極上R&Bです。この曲を聴くと、人によっては昔の温もりあるセル画のコナンの映像が蘇るかもしれません。
そういった懐かしさとは別に、楽曲自体の哀愁ある雰囲気や声がこの曲の特徴です。R&Bはリズム的におしゃれさに寄りやすいですが、この曲は切なさもこもったジャパニーズR&Bの代名詞です。
まとめ:「エモい」って結局…
いかがでしたでしょうか。エモいという感情は、切なさや懐かしさから来る感情だけでなく、なんとも言葉でうまく言い表せない感情でもあります。結局のところ感じ方は人それぞれ。
そんな中でも、本記事から好きなエモソングが見つかれば幸いです。
ちなみにこの記事のサムネ画像は、東京にある永福町という街で撮影したものです。フィルムカメラのファインダー越しに見える都会の夕暮れに心惹かれました。私が感じる「エモい」ってこんな雰囲気かもしれません。