【2026年3月号】いま行くべき東京の展覧会・アートイベント

3月の東京は、美術館周辺も春めいてきてアートお散歩日和。話題の大型回顧展から、ひっそり始まった必見の展示まで、今月YuReLが「いま行くべき」と推したい5つの展覧会をお届けします。

筆者:ゆるり

「正確に、けれども面白く」を
モットーにアートの世界を紹介する編集者。

目次

01. 生誕100周年記念 安野光雅展

「ふしぎなえ」「旅の絵本」で知られる絵本作家・安野光雅(1926〜2020)の生誕100周年を記念した回顧展が、立川のPLAY! MUSEUMで開催中です。

会期2026年3月4日(水)〜 5月10日(日) 
会場PLAY! MUSEUM
住所東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3
開館時間10:00〜17:00(土日祝は18:00まで)
料金一般 1,800円 / 大学生 1,200円 / 高校生 1,000円 / 中・小学生 600円 / 未就学児 無料 ※各種割引あり
公式サイトhttps://play2020.jp/article/anno/
公式Instagram@play_2020_04
※最新情報は公式サイトをご覧ください

この展覧会の見どころ

貴重な初期三部作の原画をはじめ、約130点が一堂に会するこの展覧会の最大の見どころは、PLAY! MUSEUMならではの体験型展示です。「旅の絵本」の風景を高さ3m×長さ50mの壁面に引き伸ばし、安野光雅が旅した各国を飛行機の窓から覗き込むような没入感が楽しめます。

知的好奇心と遊び心が詰まった安野の世界は、子どもも大人も関係なく引き込んでいく力があります。都心から少し足を伸ばす価値が十分にある展覧会です。

[ ARTIST ] 安野光雅(あんの みつまさ)
1926年島根県津和野町生まれ。小学校の美術教員を経て、1968年に絵本『ふしぎなえ』でデビュー。だまし絵の手法を駆使した文字のない絵本で一躍注目を集める。国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞特別賞など国内外の数多くの賞を受賞。2012年、文化功労者に選出。2020年没。故郷・津和野には「安野光雅美術館」が建つ。

02. トワイライト、新版画 ―小林清親から川瀬巴水まで

川瀬巴水の版画をご存じですか?

雪の浅草、霧の隅田川——その静謐で叙情的な作品は、スティーブ・ジョブズが愛したことでも知られ、近年世界中のコレクターから熱視線を集めています。三菱一号館美術館では、その巴水をはじめ、吉田博、小林清親らによる新版画の名品が、アメリカのスミソニアン国立アジア美術館から里帰りしています。

会期2026年2月19日(木)〜 5月24日(日)
会場三菱一号館美術館
住所東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間10:00〜18:00(金・展覧会最終週平日は20:00まで)
料金一般 2,300円 / 大学生 1,300円 / 高校生1,000円
公式サイトhttps://mimt.jp/ex_sp/shin-hanga/
公式Instagram@mitsubishi_ichigokan_museum
※最新情報は公式サイトをご覧ください

この展覧会の見どころ

明治期に「光線画」と呼ばれた小林清親の仕事を起点に、浮世絵から新版画へと続く日本の風景版画の系譜を約130点でたどる本展。夕暮れや夜景をきめ細かく描いた作品の数々は、当時の江戸〜明治の空気感が伝わってきます。

赤レンガが印象的な三菱一号館という会場の雰囲気も、作品の世界観にぴったり。アメリカ建国250周年という記念の年に実現した、この規模のコレクション里帰りは貴重な機会です。

[ ARTIST ] 川瀬巴水(かわせ はすい) 1883年東京生まれ。版元・渡邊庄三郎との協働で新版画運動を牽引。雪、雨、霧など移ろう自然と日本各地の風景を叙情豊かに描いた。生涯600点以上の版画を制作。スティーブ・ジョブズが愛好したことで知られ、近年は海外でも人気が急騰している。1957年没。

04. W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代

「報道写真家」というイメージが強いW. ユージン・スミスですが、この展覧会はその一面だけでは語れない彼の素顔に迫る、日本初の試みです。

会期2026年3月17日(火)〜 6月7日(日) 
会場東京都写真美術館 2階展示室
住所東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間10:00〜18:00(木・金は20:00まで)
料金一般 700円 / 学生 560円 / 高校生・65歳以上 350円 / 中学生以下 無料
公式サイトhttps://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5095.html
公式Instagram@topmuseum
※最新情報は公式サイトをご覧ください

この展覧会の見どころ

1954年に雑誌「ライフ」を離れたスミスは、ニューヨーク・マンハッタンのロフトに移り住みます。そこはセロニアス・モンクやマイルス・デイヴィス、サルバドール・ダリなど、時代を動かす芸術家たちが集う特別な場所でした。

本展では、そのロフト時代を軸に、ジャーナリズムと芸術の狭間で写真表現を拡張し続けたスミスの仕事を体感できます。アリゾナ大学のアーカイブをもとにロフトの壁を再現した展示空間は、当時流れていた音楽とともに、スミスの思考の軌跡をたどるような体験を届けてくれます。「水俣」シリーズで知られる晩年の作品も並び、スミスの全体像を新たな視点で見直す機会になるはずです。

[ ARTIST ] W. ユージン・スミス(W. Eugene Smith) 1918年アメリカ・カンザス州生まれ。雑誌「ライフ」の特派員として第二次世界大戦を取材。「カントリー・ドクター」「水俣」など社会的影響力の高いフォト・エッセイを発表し、報道写真史に大きな足跡を残す。写真の芸術的可能性を追求した実践者として近年再評価が高まっている。1978年没。

04. チュルリョーニス展 内なる星図

「チュルリョーニス」という名前を初めて聞く方も多いかもしれません。でも、この展覧会を見たら、きっと忘れられなくなります。

会期2026年3月28日(土)〜 6月14日(日) 
会場国立西洋美術館 企画展示室B2F
住所東京都台東区上野公園7-7
開館時間9:30〜17:30(金・土は20:00まで)
料金一般 2,200円 / 大学生 1,300円 / 高校生 1,000円 / 中学生以下 無料 ※本展チケットで同日の「北斎 冨嶽三十六景」と常設展も観覧可
公式サイトhttps://2026ciurlionis.nmwa.go.jp/
公式Instagram@nmwatokyo
※最新情報は公式サイトをご覧ください

この展覧会の見どころ

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875〜1911)は、リトアニアが誇る画家であり作曲家。35歳で世を去るまでのわずか6年の画業で300点以上の作品を残した天才です。

日本では34年ぶりとなる大回顧展となる本展には、謎に包まれた最大の代表作《レックス(王)》が日本初公開で登場します。音楽形式を絵画に取り込んだ連作や、自身の手による楽譜、展示室に流れる旋律を通じて、絵と音楽が溶け合う唯一無二の世界を体感できます。なじみのない芸術家だからこそ、先入観なく作品と向き合える贅沢な展覧会です。

[ ARTIST ] M. K. チュルリョーニス(M. K. Čiurlionis) 1875年リトアニア生まれ。作曲家として出発し、後に独学で絵画を学ぶ。「ソナタ」「フーガ」など音楽形式を絵画に取り込んだ連作で独自の表現を確立。世紀末のアール・ヌーヴォーや象徴主義、ジャポニスムの影響を受けながらも、唯一無二の芸術世界を築いた。35歳で早逝。近年オルセー美術館でも展覧会が開催されるなど、国際的な再評価が進んでいる。

05. SORAYAMA 光・透明・反射 -TOKYO-

未来型・犬ロボット「AIBO」でおなじみ、空山基(そらやまはじめ)の過去最大規模の回顧展が東京・京橋に上陸。上海で話題を呼んだ展覧会が、内容をアップデートして日本初登場です。

会期2026年3月14日(土)〜 5月31日(日) 
会場CREATIVE MUSEUM TOKYO
住所東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 6F
開館時間10:00〜18:00(金・土・祝前日・GW・最終日は20:00まで)
料金一般 2,500円 / 大学生 1,800円 / 高校生 1,500円 / 中学生以下 1,000円 / 未就学児 無料
公式サイトhttps://sorayama2026.jp/
Instagram@sorayama_2026
※最新情報は公式サイトをご覧ください

この展覧会の見どころ

「光を描くには、まず空気を描かなければならない」——そう語る空山基が半世紀かけて追い求めてきたのは、絵の具という制限された素材で光を征服することでした。

本展では1970年代後半の初期作品から最新のインスタレーションまでを9つのセクションで体感できます。鏡面反射で無限空間を生み出す《Space Traveler》や、ソニーの触覚技術を用いた没入型映像《TREX》など、アートと技術の境界を軽やかに越えた空山ワールドは、一度見たら忘れられません。AIBOの原画やエアロスミスのアルバムジャケットなど、商業と芸術を横断してきた活動の全貌も見どころです。

[ ARTIST ] 空山基(そらやま はじめ) 1947年愛媛県生まれ。中央美術学園卒業後、フリーのイラストレーターとして独立。「セクシーロボット」シリーズで世界的な評価を確立。ソニー「AIBO」のコンセプトデザイン、エアロスミスのアルバムジャケット、ディオール×キム・ジョーンズなど商業とアートを横断して活躍。作品はニューヨーク近代美術館や香港M+のパーマネントコレクションに収蔵されている。

春のアートへ、一歩踏み出してみて

3月の東京には、わざわざ足を運ぶ理由がたくさんあります。

半世紀の軌跡を圧倒的なスケールで見せてくれる空山基の回顧展、絵本原画の緻密な世界に没入できる安野光雅展、江戸から明治へと続く日本の版画美を再発見できる新版画展。音楽と絵画が溶け合うチュルリョーニスの幻想世界まで、ジャンルも時代も国も、バラバラだからこそ面白い。

美術館に行くのは久しぶり、という方にも、週末のたびにアートを巡っている方にも、きっと新しい発見が待っているはずです。桜が咲き始めるこの季節に、ぜひ一展だけでも足を運んでみてください。

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