オランダ・フローニンゲン美術館が所蔵するフィンセント・ファン・ゴッホの初期作《春のヌエネンの牧師館の庭》(1884年)が、本格的な修復を終え3月31日に一般公開された。この作品をめぐる数奇な経緯が、改めて世界の注目を集めている。
盗まれたゴッホ作品の行方

本作は2020年3月30日の深夜、貸出先のシンガーラーレン美術館からコロナ禍の休館中に強盗により盗まれた。
犯人はガラス製の入口ドアを破壊して侵入、作品を持ち去った。その後オランダ警察と「アート探偵」として知られる私立探偵アルトゥール・ブランドの捜査により、2023年に作品が発見される。ブランドのもとに届けられた際、絵は古い枕カバーに包まれIKEAの青いバッグに入れられた状態だった。
返還後に見つかった何者かの加筆
返還後、修復士マルヤン・デ・フィッセルによる数ヶ月に渡る修復作業の中で、予想外の事実が判明した。画面中央を歩く女性の顔に、ゴッホ死後に別の人物が加筆していたことが確認されたのだ。
1903年、ロッテルダムのギャラリーで販売するにあたり、当時まだ無名だったゴッホの作品を売りやすくするため、顔のない女性に目・鼻・口が描き加えられたとみられる。デ・フィッセルはゴッホの手紙や最新の分析技術を駆使してオリジナルを特定、加筆部分を慎重に除去した。

ゴッホが1884年に描いた、顔のない女性の姿が142年ぶりに姿を現した。
修復された作品はフローニンゲン美術館で現在公開中。作品の隣にはデジタルスクリーンが設置され、修復前後の比較を来館者が自分で確認できる。

YuReL編集部コメント

どの作品も売られれば”億”はくだらないゴッホの作品がまさかIKEAのバックに入れられて見つかったのは驚きでした。ゴッホの作品はほとんどがしっかり表情も描きこまれていますが、初期の作品は『貧困と金』のように顔が描かれていないこともありました。

そんなゴッホの作品を「売れやすくなる」という理由で加筆されていたのは何とも悲しいですが、142年越しに取り戻された「顔のない女性」に、ゴッホ本来の眼差しを感じてみるのはいかがでしょうか。



